介護士の仕事は、きついというイメージが強い。介護士は日常生活に困難がある利用者のニーズを読み取り、相手に配慮をしながら介助をしなければならない。その内容は、身の回りの世話から、精神的なケアまで多岐にわたる。特に相手が認知症を患っていたり、障がいを持つ人であったりする場合、その人が何を必要としているかが素早く判断しにくい。それでも介護士は、相手に寄り添う心を常に持ち、介助をすることが求められるのだ。
介護士として何が必要とされているかを端的にいうならば、思いやりと観察力である。介護は人対人の仕事であるため、コミュニケーションが必要とされる。しかし、自分の思いを的確に相手に伝えるのは難しいものであり、誤解や衝突が生まれることはよくある。
そこで相手に寄り添う心、つまり思いやりが重要になってくる。介護士も人であり、感情もある。自分の思いが伝わらず、理不尽なことを言われれば怒りの感情を覚えてしまうこともあろう。しかし、介護士というプロの立場である以上、感情的に当たるような行動・言動は当然NGだ。利用者のわがままが過ぎる場合は、冷静に説得する必要がある。感情コントロールは難しいものだが、それは一種の思いやりでもあるのだ。これは介護士に求められる必須のスキルであるといえよう。
そして、食事や入浴・排泄・移動など、常に異変を見逃さない観察力も必要だ。そのためには、相手がいつもどういう行動をしているか、どんな表情をしているか、普段の状態をしっかり把握しておくことが大事だ。介護施設においては、多くの人を相手にするため、同時に全員の観察や判断をするのは大変難しい。これを解決するためには、周囲のスタッフとの協力が不可欠である。日頃から報連相を徹底して、スタッフみんなで利用者の観察状況を共有する体制を作っておくと良いだろう。